危機的状況における就労・社会経済的地位が母乳育児期間に与える影響の違い
Differential effects of work and socioeconomic status on breastfeeding duration in times of crisis
どんな研究?
01 — Summaryレバノンで最近母乳育児を行った母親を対象とした横断研究で、母乳育児の期間に影響する要因を調べました。母乳育児に対する前向きな態度、高学歴、妊娠中の断食の習慣(断食しながら授乳)が、より長い母乳育児期間と関連していました。就労状況による差は見られませんでしたが、低収入の母親では母乳育児の継続傾向が特に強く示されました。
要点
02 — Key points- 01母乳育児への前向きな姿勢と高学歴が授乳期間の長さと関連
- 02経済状況(収入)による層別化では、低収入層でも長い授乳期間の傾向
- 03就労の有無は授乳期間の関連の大きさに差をもたらさなかった
レバノンの危機的状況下(経済危機・COVID-19等)で実施された横断研究であり、特定の文化・状況への依存度が高い。自己申告データに基づく。授乳期間の記憶バイアスの可能性がある。観察研究のため因果関係は確定できない。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 横断研究
- エビデンス強度
- 観察研究
- 掲載誌
- Emergent Maternal-Child Nursing
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1186/s12982-025-00790-5
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related早産の新生児におけるおしゃぶりの使用と乳児期の母乳育児の関連 — システマティックレビュー
早産で生まれた赤ちゃんのおしゃぶりの使用と、その後の母乳育児との関係を調べた10件の研究をまとめたレビューです。結果は研究の種類によって分かれ、観察研究では「おしゃぶりを使うと母乳育児が短くなる」という関連が多く見られた一方、ランダム化比較試験では逆に良い方向の結果が見られました。著者は、おしゃぶり(栄養を伴わない吸う動き)が経管栄養から口での授乳への移行を助け、退院を早める可能性があるとしつつ、母乳育児との関係はほかの要因も絡んで複雑だと整理しています。
授乳期間と3歳頃の子どもの行動上の問題との関連
中国の子どもたちを対象に、完全母乳や全体的な授乳期間と、3歳頃の行動上の問題(感情・多動・仲間関係など)との関連を調べました。授乳期間が長い(特に完全母乳が6か月以上)ほど、3歳時点での行動上の問題が少ない傾向が見られました。母乳育児が子どもの行動発達にも関連する可能性が示されています。
母乳育児の期間と子どもの発達
イスラエルの全国的な乳幼児健診のデータを使い、約57万人の子どもについて、母乳をあげた期間と2〜3歳時点の発達との関連を調べた大規模な後ろ向きコホート研究です。家庭の状況などの条件をそろえて分析したところ、6か月以上母乳をあげた子は、それより短い子に比べて、言葉・社会性・運動の発達の節目の遅れが少ない傾向がみられました。同じ家庭のきょうだい同士で比べた分析でも、母乳が長い子の方が発達の遅れや神経発達の診断が少ない傾向がみられました。