幼児期のバイリンガル環境と社会的・情緒的発達:スコーピングレビュー
Bilingualism and socioemotional development in early childhood: a scoping review
どんな研究?
01 — Summary2015〜2024年に発表された11件の研究をもとに、幼児期のバイリンガル環境が社会的・情緒的発達(感情調整や社会的スキルなど)とどう関係するかをまとめたスコーピングレビューです。両言語の熟達度が高く、文化的多様性が支持された環境にある子どもでは、社会的スキルや感情調整と関連する可能性が示唆されましたが、社会経済的背景や年齢などによって結果が異なり、一貫した結論は得られていません。
要点
02 — Key points- 0111件の研究では、二言語環境が情緒調整や社会的スキルに好ましい関連をもつ可能性が示された
- 02効果は子どもの両言語熟達度や教育環境の支援によって異なり、一律ではない
- 03縦断的デザインの研究が少なく、エビデンスは限定的
スコーピングレビューであり、エビデンスの質の評価やメタアナリシスは実施していない。含まれる研究が11件と少なく、サンプルの代表性や研究デザインにもばらつきがある。因果関係は確立されていない。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- スコーピングレビュー
- エビデンス強度
- 総説・その他
- 掲載誌
- Frontiers in Education
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.3389/feduc.2026.1879320
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related二言語家庭では、親子が使う言語を自然とそろえている
二つの言語を使う家庭の親子のやりとりを、家庭での遊びの様子を録画して調べた研究です。カナダ(フランス語・英語)とアメリカ(スペイン語・英語)の18〜35か月の子ども39人を対象にしました。主に世話をする保護者と子どもは、会話の中で相手と同じ言語を選んでそろえる傾向が、偶然より高い割合で見られました。こうした言語のそろえ合いが、二言語の習得を支えている可能性が示されています。
コロナ前・禍中・禍後における子どもの言語・社会情緒発達:オランダYOUthコホートより
生後5か月〜4歳の子ども2,166人を対象に、コロナ前(2015〜2020年)・禍中(2020〜2022年)・禍後(2022〜2023年)に分けて言語・社会情緒発達を比べた大規模コホート研究(オランダ)です。禍中の子どもは語彙や社会情緒の発達スコアが低い傾向がみられましたが、禍後には一部の指標で回復がみられました。コロナ禍の社会的制限が幼児期の発達に影響を及ぼした可能性を示しています。
生後5か月では、一つの言語の子も二言語の子も顔の見方に違いはなかった
生後5か月の赤ちゃん約570人を対象に、人の顔の「目」と「口」のどちらをよく見るかを調べた研究です。一つの言語で育つ子(モノリンガル)と二つの言語で育つ子(バイリンガル)で、顔の見方に差はありませんでした。また、その後2〜3歳になったときの語彙の多さとも、目・口の見方ははっきり関係していませんでした。