新たに生じた遺伝子のコピー数変異と自閉症の強い関連
Strong association of de novo copy number mutations with autism.
どんな研究?
01 — SummaryASDの子どもとその親、そして比較対象の人たちのDNAを調べ、親には無く子に新しく生じた「遺伝子のコピー数の変化(コピー数変異)」とASDの関係を調べた研究です。こうした新生のコピー数変異は、家族に他に該当者がいない(孤発性の)ASDの子で多くみられました。生まれもった遺伝的な変化が、ASDの重要なリスク要因の一つであることを早い時期に示した研究です。
要点
02 — Key points- 01ASDの子・親・比較対象のDNAを比べ、子に新しく生じた遺伝子コピー数変異を調べた。
- 02新生のコピー数変異はASDと統計的に強く関連していた。
- 03家族に他に該当者がいない孤発性のASDの子で、こうした変異が多くみられた(約10%)。
- 04関わる遺伝子領域はばらばらで、ASDの遺伝的背景が多様であることを示す。
- 05新生の遺伝的変化が、それまで考えられていた以上に重要なリスク要因だと示した。
示されたのは「関連」であり、コピー数変異がASDを直接引き起こすと断定するものではありません。対象人数は限られ、こうした変異が見つからないASDの人も多くいます。遺伝以外の要因も関わると考えられます。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 症例対照研究(遺伝子解析)
- エビデンス強度
- 観察研究
- 掲載誌
- Science
- 発表年
- 2007
- DOI
- 10.1126/science.1138659
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related自閉スペクトラム症に関わるありふれた遺伝的変異の特定
自閉スペクトラム症(ASD)の人と、そうでない人あわせて4万6千人あまりのゲノムを大規模に比べた解析です。ASDと関わるありふれた遺伝的変異の場所がいくつか見つかり、これらは統合失調症やうつ、学歴などにも関わる領域と一部重なっていました。生まれもった遺伝の要素がASDのなりやすさに大きく関わることを、改めて示した内容です。
自閉スペクトラム症に関係する、妊娠・出産・出生後の要因(メタアナリシス)
自閉スペクトラム症(ASD)に関係する、妊娠中・出産時・出生後の要因を、17件の研究(自閉症の子ども約3万8千人を含む大規模データ)からまとめたメタアナリシスです。両親の高年齢、妊娠高血圧・妊娠糖尿病、早産(在胎36週以下)、低出生体重、出産時のトラブルなどが、自閉症とゆるやかに関連していました。これらは「関連する要因」であり、原因と確定したものではありません。
大規模なエクソーム解析が示す、自閉症の脳の発達とはたらきの変化
これまでで最大級の規模(約3万6千人分、うちASDが約1万2千人)で、遺伝子の中でたんぱく質を作る部分(エクソーム)を読み解いた研究です。ASDのなりやすさに関わる遺伝子を102個特定しました。これらの多くは脳の発達の早い時期にはたらき、神経細胞どうしの情報のやり取りや遺伝子のはたらきの調節に関わっていました。ASDには生まれもった遺伝的要因が深く関わることを裏づける内容です。