産後の繰り返す泣き無視と、乳幼児の神経心理発達:エコチル調査
Repeated maternal non-responsiveness to baby's crying during postpartum and infant neuropsychological development: The Japan Environment and Children's Study
どんな研究?
01 — Summary産後1か月の時点で赤ちゃんの泣きをたびたび無視したお母さんの子どもでは、6か月〜3歳の複数の発達領域(コミュニケーション・運動・問題解決・社会性)で遅れが生じやすい傾向がありました。10万組以上の母子データを使った大規模な日本の研究です。一方、赤ちゃんを一人でおいて外出することの悪影響は、1歳頃には薄れていました。
要点
02 — Key points- 01泣きをたびたび無視した群では全発達領域で遅れのリスクが有意に高い(最大調整オッズ比1.46)
- 02関連は6か月から3歳まで継続して観察された
- 03エコチル調査の10万286組のデータを使用した大規模研究
観察研究であり、関連であって因果関係ではありません。「たびたび無視する」行動の背景(産後うつ、育児ストレスなど)が交絡因子となる可能性があります。発達評価は保護者による自記式質問票(J-ASQ-3)であり、専門家診断ではありません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 縦断的コホート研究(エコチル調査)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Child Abuse & Neglect
- 発表年
- 2022
- DOI
- 10.1016/j.chiabu.2022.105581
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related超早産児への高用量DHA経腸投与と神経発達:システマティックレビュー・メタアナリシス
29週以下で生まれた超早産児を対象に、高用量のDHA(ドコサヘキサエン酸)を経腸投与したRCT3件(計2,028人)をまとめたメタアナリシスでは、認知スコア全体への明確な改善効果は認められませんでした。ただし、大規模な1試験では5歳時点でわずかに高い認知スコアが確認され、軽度の運動・認知障害リスクの低下も示されました。否定的な影響はなかったと報告されています。
早産児の母乳育児と神経発達のアウトカム:システマティックレビューとメタアナリシス
早産で生まれた赤ちゃんを対象に、母乳育児がその後の神経発達とどう関わるかを調べた研究をまとめたものです。16件(うちランダム化比較試験は1件、残りはコホート研究)を解析した結果、母乳をあげた群は、まったくあげなかった群に比べて、長期的な認知の得点が高い傾向や、発達の遅れのリスクが低い傾向がみられました。一方で、運動の発達への影響ははっきりせず、また母乳と母乳ドナーミルクのどちらが優れているかも明確ではありませんでした。
妊娠前・妊娠中・授乳中のオメガ3サプリと、子どもの発達(システマティックレビュー)
米国政府プロジェクトの一環として、妊娠前・妊娠中・授乳中のオメガ3(魚に多い脂肪酸)のサプリと、子どもの発達の節目(神経・認知の発達を含む)との関係を調べたシステマティックレビューです。妊娠中のオメガ3サプリは、子どもの認知の発達によい影響をもたらす可能性がある(限定的な確かさ)と整理されました。その他のアウトカムについては根拠が不十分でした。