早産児の母乳育児と神経発達のアウトカム:システマティックレビューとメタアナリシス
A systematic review and meta-analysis of breastfeeding and neurodevelopmental outcomes in preterm infant.
どんな研究?
01 — Summary早産で生まれた赤ちゃんを対象に、母乳育児がその後の神経発達とどう関わるかを調べた研究をまとめたものです。16件(うちランダム化比較試験は1件、残りはコホート研究)を解析した結果、母乳をあげた群は、まったくあげなかった群に比べて、長期的な認知の得点が高い傾向や、発達の遅れのリスクが低い傾向がみられました。一方で、運動の発達への影響ははっきりせず、また母乳と母乳ドナーミルクのどちらが優れているかも明確ではありませんでした。
要点
02 — Key points- 01早産児を対象にした研究16件をまとめたメタアナリシス
- 02内訳はランダム化比較試験1件と観察研究(コホート)15件
- 03母乳育児群で認知の得点が高い傾向、発達の遅れのリスクが低い傾向
- 04運動の発達への影響は結論が出なかった
- 05発表バイアスの可能性があり解釈には注意が必要
まとめた研究の大半が観察研究(コホート)であるため、母乳と発達の関連はみられても因果関係を示すものではありません。母乳を選んだ家庭の環境の違いなど、調整しきれない要因の影響が残っている可能性があります。研究によって比べ方や対象がばらつき、発表バイアスの可能性も指摘されており、対象は早産児に限られる点にも注意が必要です。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- システマティックレビュー・メタアナリシス(主に観察研究)
- エビデンス強度
- メタアナリシス
- 掲載誌
- Frontiers in Public Health
- 発表年
- 2024
- DOI
- 10.3389/fpubh.2024.1401250
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related母乳育児の期間と子どもの発達
イスラエルの全国的な乳幼児健診のデータを使い、約57万人の子どもについて、母乳をあげた期間と2〜3歳時点の発達との関連を調べた大規模な後ろ向きコホート研究です。家庭の状況などの条件をそろえて分析したところ、6か月以上母乳をあげた子は、それより短い子に比べて、言葉・社会性・運動の発達の節目の遅れが少ない傾向がみられました。同じ家庭のきょうだい同士で比べた分析でも、母乳が長い子の方が発達の遅れや神経発達の診断が少ない傾向がみられました。
母乳育児と6歳時点の発達の関連(フランスPELAGIE出生コホート)
フランスの出生コホートに参加した子ども286人を対象に、母乳で育てられたことと6歳時点の認知・発達の関連を調べた研究です。母親の知的能力や学歴、家庭環境などの影響を統計的に調整したうえで、4か月以上母乳で育てられた子どもは、言葉の理解に関する得点が高い傾向がみられました。注意や記憶に関する一部の検査でもよい結果との関連がみられましたが、関連がみられなかった項目もありました。
とても早く生まれた赤ちゃんの母乳と、脳の発達・7歳時の発達
妊娠30週未満などでとても早く生まれた赤ちゃん180人を対象に、生後28日間にどれだけ母乳を多く飲んだかと、その後の脳や発達との関連を7歳まで追って調べた研究です。母乳を多く飲んだ日が多い子ほど、生まれた頃の脳の一部(深部の灰白質)の体積が大きく、7歳時のIQ・算数・記憶・運動の成績がやや良い関連がみられました。著者らは、新生児期に母乳を中心に与えることが発達に関わる可能性を示すとしています。