母乳育児はおしゃぶりの使用を減らすことで思春期の出っ歯(過大なオーバージェット)を防ぐ — 出生コホート研究
Breastfeeding Protects from Overjet in Adolescence by Reducing Pacifier Use: A Birth Cohort Study.
どんな研究?
01 — Summary生まれてから12歳までを追った出生コホート研究で、母乳育児とおしゃぶりの使用が、思春期の歯のかみ合わせ(前歯が前に出る「オーバージェット」)とどう関係するかを調べました。母乳育児を続けた子では、オーバージェットが大きくなる割合が低い傾向が見られ、その関係の多くは「おしゃぶりの使用が少なくなること」を通じて説明できると分析されました。つまり、母乳育児はおしゃぶりの使用を減らすことを介して、歯のかみ合わせに良い方向と関連する可能性が示されています。
要点
02 — Key points- 01出生から12歳まで214人を追った前向きの出生コホート研究。
- 02母乳育児を続けた子では、思春期に前歯が前に出るかみ合わせになる割合が低い傾向が見られた。
- 03その効果の約6割は、おしゃぶりの使用が減ることを介していたと分析された。
- 04母乳育児とおしゃぶりの使用は、生後12か月まで毎月記録された。
- 05母乳育児はおしゃぶりの使用を減らすことを通じて、歯のかみ合わせと関連する可能性がある。
観察研究のため、関連が示されても因果関係を証明するものではありません。対象人数が約200人と多くなく、海外(ブラジル)の子どもが対象で、日本の状況とは異なる場合があります。調べた結果は歯のかみ合わせであり、SIDS(乳児突然死症候群)との関係を見たものではありません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 出生コホート研究(前向き観察研究)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Nutrients
- 発表年
- 2023
- DOI
- 10.3390/nu15153403
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related正期産・早産の新生児におけるおしゃぶりの使用と母乳育児 — システマティックレビューとメタアナリシス
おしゃぶりの使用が母乳育児の続けやすさと関係するかを、ランダム化比較試験だけを集めて分析した研究です。正期産の赤ちゃんでは、生後2〜6か月の時点で、おしゃぶりを自由に使うグループと制限したグループとで母乳育児の割合に大きな差は見られませんでした。早産の赤ちゃんでは、おしゃぶり(栄養を伴わない吸う動き)を使うと入院期間が短くなる傾向も報告されています。著者は、観察研究では「おしゃぶりを使う子は母乳をやめるのが早い」と見えても、比較試験ではそうした差は出ていないと整理しています。
早産の新生児におけるおしゃぶりの使用と乳児期の母乳育児の関連 — システマティックレビュー
早産で生まれた赤ちゃんのおしゃぶりの使用と、その後の母乳育児との関係を調べた10件の研究をまとめたレビューです。結果は研究の種類によって分かれ、観察研究では「おしゃぶりを使うと母乳育児が短くなる」という関連が多く見られた一方、ランダム化比較試験では逆に良い方向の結果が見られました。著者は、おしゃぶり(栄養を伴わない吸う動き)が経管栄養から口での授乳への移行を助け、退院を早める可能性があるとしつつ、母乳育児との関係はほかの要因も絡んで複雑だと整理しています。
母乳育児と6歳時点の発達の関連(フランスPELAGIE出生コホート)
フランスの出生コホートに参加した子ども286人を対象に、母乳で育てられたことと6歳時点の認知・発達の関連を調べた研究です。母親の知的能力や学歴、家庭環境などの影響を統計的に調整したうえで、4か月以上母乳で育てられた子どもは、言葉の理解に関する得点が高い傾向がみられました。注意や記憶に関する一部の検査でもよい結果との関連がみられましたが、関連がみられなかった項目もありました。