正期産・早産の新生児におけるおしゃぶりの使用と母乳育児 — システマティックレビューとメタアナリシス
Pacifier use and breastfeeding in term and preterm newborns-a systematic review and meta-analysis.
どんな研究?
01 — Summaryおしゃぶりの使用が母乳育児の続けやすさと関係するかを、ランダム化比較試験だけを集めて分析した研究です。正期産の赤ちゃんでは、生後2〜6か月の時点で、おしゃぶりを自由に使うグループと制限したグループとで母乳育児の割合に大きな差は見られませんでした。早産の赤ちゃんでは、おしゃぶり(栄養を伴わない吸う動き)を使うと入院期間が短くなる傾向も報告されています。著者は、観察研究では「おしゃぶりを使う子は母乳をやめるのが早い」と見えても、比較試験ではそうした差は出ていないと整理しています。
要点
02 — Key points- 0110件のランダム化比較試験(正期産5件・早産5件)をまとめたメタアナリシス。
- 02正期産では、おしゃぶりの使用と母乳育児の続けやすさの低下との関連は見られなかった(証拠の質は中〜高)。
- 03早産児では、おしゃぶりの使用が入院期間や経管栄養から経口栄養への移行期間の短縮と関連していた。
- 04観察研究で見られる「おしゃぶり=母乳をやめやすい」という関連は、比較試験では確認されていない。
- 05おしゃぶりを使うかは病院の方針ではなく保護者が決めてよい、と著者は述べている。
対象は海外の研究で、日本の子育て環境とは異なる場合があります。組み入れた10件中9件で偏りの懸念が一部あり、研究数も多くありません。長期的な影響や、SIDS(乳児突然死症候群)との関係を直接調べたものではありません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- システマティックレビュー・メタアナリシス(ランダム化比較試験のまとめ)
- エビデンス強度
- メタアナリシス
- 掲載誌
- European Journal of Pediatrics
- 発表年
- 2022
- DOI
- 10.1007/s00431-022-04559-9
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related早産児の母乳育児と神経発達のアウトカム:システマティックレビューとメタアナリシス
早産で生まれた赤ちゃんを対象に、母乳育児がその後の神経発達とどう関わるかを調べた研究をまとめたものです。16件(うちランダム化比較試験は1件、残りはコホート研究)を解析した結果、母乳をあげた群は、まったくあげなかった群に比べて、長期的な認知の得点が高い傾向や、発達の遅れのリスクが低い傾向がみられました。一方で、運動の発達への影響ははっきりせず、また母乳と母乳ドナーミルクのどちらが優れているかも明確ではありませんでした。
早産の新生児におけるおしゃぶりの使用と乳児期の母乳育児の関連 — システマティックレビュー
早産で生まれた赤ちゃんのおしゃぶりの使用と、その後の母乳育児との関係を調べた10件の研究をまとめたレビューです。結果は研究の種類によって分かれ、観察研究では「おしゃぶりを使うと母乳育児が短くなる」という関連が多く見られた一方、ランダム化比較試験では逆に良い方向の結果が見られました。著者は、おしゃぶり(栄養を伴わない吸う動き)が経管栄養から口での授乳への移行を助け、退院を早める可能性があるとしつつ、母乳育児との関係はほかの要因も絡んで複雑だと整理しています。
スウェーデンの乳児の睡眠習慣調査:添い寝が増え、母乳育児と関連していた
2018年に西スウェーデンで生まれた赤ちゃんの親に、生後3か月と6か月での寝る場所や姿勢を尋ねた大規模なアンケート調査です。生後6か月で大人と同じ寝床で寝る添い寝をしている割合は33%で、2003〜2004年の20%より増えていました。また、添い寝をしている家庭ほど母乳育児をしている割合が高い傾向がありました。ただし著者自身も、この関連が因果関係とは限らないと述べています。