母乳育児と4歳までの認知発達:日本の大規模出生コホート研究
Breastfeeding and Children's Cognitive Development up to the Age of 4 Years: The Japan Environment and Children's Study.
どんな研究?
01 — Summary日本の大規模コホートから約2,700人の子どもを対象に、授乳方法と2歳・4歳時の認知発達(発達指数)を調べました。生後6か月間、完全母乳で育てた場合と比べ、ほぼ人工乳で育てた女の子は2歳・4歳ともに言語・社会性の発達指数が有意に低い傾向がみられました。一方、混合栄養ではそうした差はみられませんでした。
要点
02 — Key points- 01人工乳主体で育てた女の子は2歳・4歳とも言語・社会性の発達指数が完全母乳群より有意に低かった
- 02男の子では人工乳群で2歳時の差がみられたが、4歳では有意差なし
- 03完全母乳と混合育児(母乳+人工乳)では発達指数に有意差はなかった
観察研究であり因果関係は確認されていません。授乳方法の選択は家庭の状況・母親の教育歴などと関連しており、完全な交絡除去は困難です。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Breastfeeding Medicine
- 発表年
- 2024
- DOI
- 10.1089/bfm.2024.0195
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related母乳育児の期間と認知発達の関連:幼少期から青年期中頃まで
オーストラリアの大規模縦断コホート(約8600〜8600人)で、母乳育児の期間が長いほど5〜9歳の語彙力や7〜11歳の非言語知能が高い傾向があることが示されました。一方で、15歳時点の実行機能(注意・計画能力)との有意な関連は見られませんでした。母乳期間と認知発達の間には量反応関係の傾向があるものの、観察研究のため因果関係とはいえません。
南アフリカ農村部の学童における完全母乳育児と認知・実行機能・行動障害との関連:コホート解析
南アフリカ農村部の子ども(7〜11歳)を対象に、完全母乳育児(EBF)と認知・実行機能・行動の関連を調べたコホート研究です。HIV陰性の母親から生まれた906人の子どもを評価しました。母乳育児の長期的な認知への影響は、この研究では必ずしも明確ではなく、HIVへの曝露など他の要因との関係も含め検討されています。
乳児期の授乳と3歳・7歳時点の認知:母乳育児の期間と排他性の影響
アメリカで妊娠期から子どもを追跡したコホート研究で、母乳をあげた期間の長さと、3歳・7歳時点での言葉や知能の発達との関連を調べました。家庭環境や母親の知能などの条件をそろえて分析したところ、母乳の期間が長いほど、3歳時点の言葉の理解や7歳時点の知能の得点がわずかに高い傾向がみられました。一方で、記憶・学習の検査の得点とは関連がはっきりしませんでした。母親が授乳中に魚を多く食べていた場合に、一部の発達でより良い傾向が見られる可能性も示されました。