乳児期の授乳と3歳・7歳時点の認知:母乳育児の期間と排他性の影響
Infant feeding and childhood cognition at ages 3 and 7 years: Effects of breastfeeding duration and exclusivity.
どんな研究?
01 — Summaryアメリカで妊娠期から子どもを追跡したコホート研究で、母乳をあげた期間の長さと、3歳・7歳時点での言葉や知能の発達との関連を調べました。家庭環境や母親の知能などの条件をそろえて分析したところ、母乳の期間が長いほど、3歳時点の言葉の理解や7歳時点の知能の得点がわずかに高い傾向がみられました。一方で、記憶・学習の検査の得点とは関連がはっきりしませんでした。母親が授乳中に魚を多く食べていた場合に、一部の発達でより良い傾向が見られる可能性も示されました。
要点
02 — Key points- 01妊娠期から子どもを追跡した前向きコホート研究(約1300組)
- 02家庭環境や母親の知能などを調整して分析
- 03母乳の期間が長いほど3歳の言葉の理解・7歳の知能が高い傾向
- 04記憶・学習の検査の得点とは明確な関連はみられなかった
- 05授乳中の母親の魚の摂取が一部の発達に関わる可能性
観察研究(前向きコホート)のため、母乳と発達の関連はみられても因果関係を証明するものではありません。母乳を長く続けた家庭はもともと教育や生活環境が異なる可能性があり、調整しきれない要因が結果に影響しているおそれがあります。アメリカの一集団の結果であり、得点の差もわずかで、日本の子どもにそのまま当てはまるとは限りません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- JAMA Pediatrics
- 発表年
- 2013
- DOI
- 10.1001/jamapediatrics.2013.455
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related母乳育児の期間と子どもの発達
イスラエルの全国的な乳幼児健診のデータを使い、約57万人の子どもについて、母乳をあげた期間と2〜3歳時点の発達との関連を調べた大規模な後ろ向きコホート研究です。家庭の状況などの条件をそろえて分析したところ、6か月以上母乳をあげた子は、それより短い子に比べて、言葉・社会性・運動の発達の節目の遅れが少ない傾向がみられました。同じ家庭のきょうだい同士で比べた分析でも、母乳が長い子の方が発達の遅れや神経発達の診断が少ない傾向がみられました。
早産児の母乳育児と神経発達のアウトカム:システマティックレビューとメタアナリシス
早産で生まれた赤ちゃんを対象に、母乳育児がその後の神経発達とどう関わるかを調べた研究をまとめたものです。16件(うちランダム化比較試験は1件、残りはコホート研究)を解析した結果、母乳をあげた群は、まったくあげなかった群に比べて、長期的な認知の得点が高い傾向や、発達の遅れのリスクが低い傾向がみられました。一方で、運動の発達への影響ははっきりせず、また母乳と母乳ドナーミルクのどちらが優れているかも明確ではありませんでした。
母親・乳児へのオメガ3(n-3)脂肪酸の補給と、子どもの運動・認知発達(最新のシステマティックレビュー・メタアナリシス)
魚などに多いオメガ3系脂肪酸(DHAなど)を、妊娠・授乳中の母親や乳児に与えると、子どもの発達によいかを、ランダム化比較試験47件をまとめて調べた研究です。乳児に直接補給したグループでは、乳児期の精神発達の指標やのちの知能(IQ)がわずかに高い傾向がみられ、母親が妊娠・授乳中に補給した場合は子どもの言語の力が高い傾向がありました。一方で、全体としての認知能力や運動発達の指標でははっきりした差は出ませんでした。