自閉症のリスクが高い乳児における早期運動発達の軌跡
Early motor trajectories in infants at increased genetic likelihood for autism
どんな研究?
01 — SummaryASDのきょうだいがいる乳児(EL-AutSib)51人、結節性硬化症(EL-TSC)16人、低リスク群26人の計93人を対象に、生後3〜12か月の粗大運動発達(アルバータ乳児運動スケール)を追跡しました。ASDと診断されたEL-AutSibでも、低リスク群と比べた運動発達の遅れは統計的に有意ではありませんでした。一方、結節性硬化症の乳児では運動スコアが有意に低く、発達の遅れが早期から明確でした。
要点
02 — Key points- 01ASDのきょうだいがいる乳児(後にASD診断あり・なし含む)は低リスク群と運動発達軌跡に有意差はなかった
- 02結節性硬化症の乳児は他のグループより有意に低い運動スコアを示し、発達の遅れが早期から確認された
- 03運動発達の評価は、ASDリスク群全体ではなく特定の遺伝的症候群に対してより有用である可能性が示された
サンプル数が少なく(各群51・26・16人)、特にEL-TSC群が小さい。単施設の研究であり一般化には注意が必要。ASD診断は24または36か月時点での臨床判断によるため、診断基準の変動がある。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 縦断コホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Frontiers in Developmental Psychology
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.3389/fdpys.2026.1779127
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related自閉スペクトラム症の子どもへの身体活動介入が粗大・微細運動に与える効果:メタアナリシス
自閉スペクトラム症(ASD)の子ども(2〜16歳)を対象とした44件の研究・1311人のデータをメタアナリシスで統合しました。身体活動への介入は、走る・跳ぶなどの粗大運動に中〜大きな効果をもたらす傾向がありました(効果量g=0.87)。一方、鉛筆を握るなどの微細運動への効果は有意ではありませんでした。教育者やコーチによる集団介入が最も効果的でした。
コロナ禍の前・中・後における乳児の神経発達と関連リスク因子:中国東部の横断研究
中国東部の病院で2019〜2023年に神経発達評価を受けた約17,600人の乳児(0〜1歳)を対象に、コロナ禍の各時期における発達遅れのリスクを比較しました。パンデミック期(2020〜2022年)の乳児はパンデミック前と比べて運動発達の遅れが多い傾向がありました。リスク因子には出生体重・性別・分娩方法なども含まれていました。
乳児期の自閉スペクトラム症前駆症状への早期介入の実現可能性と予備的有効性
自閉スペクトラム症(ASD)の早期サインがある15か月未満の乳児30人を対象に、保護者が週1回テレヘルス(オンライン)で行う発達支援プログラム(FIRRST)を6か月間実施したパイロット研究です。プログラムを完了した28人では、保護者の関わり方のスキルが向上し、ASD症状スコアの改善と発達指標の向上が観察されました。ただし比較対照群がなく、効果の解釈には慎重さが必要です。