妊娠中に新型コロナ(COVID-19)に感染すると、子どもの発達に影響する?
数万人規模のコホート研究やメタアナリシスでは、妊娠中の新型コロナ感染と、乳幼児期の発達の遅れ(ことば・運動・自閉スペクトラム症など)との間に、はっきりした関連は今のところ見られていません。妊娠初期の感染についてはデータが少なく、今後の確認が必要です。
感染の有無を人に割り当てて比べることはできないため証拠は観察研究が上限。数万人規模のコホート・メタアナリシスが複数あり、直接感染の神経発達への影響は「なし」でおおむね一貫。一方、パンデミック環境のストレスを通じた間接的な影響の可能性を示す小規模・予備的研究もある。大規模研究の一貫した結果を重視し『中』とした。
※ このテーマは、その要因を人に割り当てて比べること(ランダム化比較試験)が 倫理上・現実的にできないため、構造的に「質:高い」の研究は得られません。 観察研究が最良の証拠であり、確実性が「中」や「低い」にとどまるのはそのためです。
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妊娠中のコリン(卵などに多い栄養素)は、子どもの発達によい?
コリンは脳や神経の発達に関わる栄養素で、多くの妊婦が推奨量に届いていないと指摘されています。ただし、妊娠中にコリンを増やすと子どもの発達がよくなるかについては、人を対象にした研究の数が少なく結果もばらついており、現時点ではよくなるともならないとも言い切れません。
妊娠中の母親の持病(複数の慢性疾患)は、子どもの発達と関係する?
妊娠中の母親が複数の持病をもつことと、子どもの発達の遅れがやや関連すると日本の調査で報告されています。観察研究であり、関連であって因果とは言えません。
子どもや妊婦の血中鉛の検査(スクリーニング)は役立つ?
鉛は子どもや胎児の発達に有害な金属で、曝露を減らすことは大切です。一方で、症状のない子どもや妊婦に対して血中の鉛を広く検査(スクリーニング)して健康がよくなるか、についての根拠は乏しく、米国予防医療作業部会のレビューでは有用性をはっきり判断できないと整理されました。これは「鉛が無害」という話ではなく、「広く検査することの有用性が不確か」という話です。心配がある場合は医師にご相談ください。
妊娠中に甲状腺の検査・治療をすると、子どもの発達はよくなる?
甲状腺の働きと子どもの発達には関連が報告されていますが、大規模なランダム化比較試験では、軽度の甲状腺機能の異常を妊娠中に見つけて治療しても、子どものIQや発達は改善しませんでした。明らかな甲状腺の病気の治療は別で、これは「軽度の異常を広く検査して治療する」ことの話です。気になる場合は主治医にご相談ください。
妊娠期の葉酸サプリは、子どもの神経発達によい?
妊娠期の葉酸サプリが、ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)などの神経発達障害のリスク低下と関連する可能性が観察研究のまとめで示されています。ただし元になる研究の多くは質が低く、確実性は低いと評価されています。認知機能(特に女の子の記憶・数的推論)との関連を示す研究もありますが、効果の出方は子どもの性別や生活環境によって異なる可能性があります。